小豆島の春霞(はるがすみ)

これ、何の写真だかわかりますか?


いつもであればこの白くなっているところには、小豆島の青い海と向こう岸が見えるのですが、霧につつまれて真っ白です…。霧の向こうからは“ザッパーン”と波の音だけが聞こえてきます。

先週の土曜日、小豆島は朝から真っ白な濃霧につつまれました。

霧でここまで真っ白になって視界が悪くなると困ってしまうことがひとつあります。それはフェリーが止まってしまうこと。日が昇り、お昼前にはだいたい霧もはれるのですが、それまでは島から出られなくなってしまいます。

当然、島外から入ってくる物資も止まってしまうわけで、毎日当たり前のように運行してくれている定期便のフェリーのおかげで、何不自由なく島で生活できています。本当に感謝です。

日本では平安時代より、春に発生する霧を春の風物詩として“春霞(はるがすみ)”と呼び、和歌などにも数多く詠まれてきました。

春霞の中を歩いていると、ウグイスにシジュウカラなど、たくさんの春の小鳥のさえずりが聞こえてきます♪その中には先日ご紹介した“ケーン、ケーン”という、けたたましいキジの鳴き声も!

春霞のなか視界が悪いからこそ、普段はあまり意識していない音が耳に飛び込んできます。

その中にとても気になるウグイスの鳴き声が…。皆さんもよくご存じかと思いますが、ウグイスはふつう“ホー ホケキョッ”と鳴きますが、そのウグイスは“ホー ホケキョ キョ”と語尾に“キョ”がひとつ多いうえに最後の“キョ”だけ、ちょっと音程が上がってとてもひょうきんな鳴き方をしているのです。

くりかえし何度も同じように変な鳴き方をしているので「キョがひとつ多いだろ!」とつっこみをいれたくなったのですが、思わずクスッと笑ってしまってその鳴き声に心がほっこりと癒されてしまいました。

ウグイスのこの鳴き声はオスがメスにアピールするために鳴いているんだそうです。このちょっぴり変な鳴き声では、メスのウグイスの心はつかめないんじゃないかとちょっと心配です…。初春にはまだまだ鳴き方が下手なウグイスも、これからだんだんと上手くなっていきます。今からいっぱい練習して、素敵な恋人を見つけてね!と応援したくなるウグイスの鳴き声でした。

小豆島せとうち感謝館 西田征弘